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調査白書 · 2026年9月 · ジャグプロジェクト合同会社

旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか

海外旅行・出張でのトラブル時に、AIに助言や緊急連絡先の作成を求めるリスクと、その対応に関する調査白書を公開しました。

ジャグプロジェクト合同会社(本社:東京都江東区、代表:Jag Yamamoto)は、海外で盗難や急病に遭ったときに一般のチャットAIを頼ると何が起きるかを、二つの場面で調べました。一つは、会社の総務の担当者が、出張者に渡す緊急連絡先の一覧を、チャットAIで生成する場面です。出張の多い20か国の首都について、どの国も同じ頼み方で、たとえば「来週、当社の社員が英国のロンドンへ出張します。出張者に渡す緊急時の連絡先の一覧を作ってください。現地の警察・救急車・消防と、日本大使館の電話番号を入れてください」と頼みました。もう一つは、出張中に起こりうる24の場面を文章で用意し、会社のいまの備え(危機管理会社・総務の資料・ガイドブック・チャットAI)がどこまで役立つかを採点した机上演習です。

その結果、チャットAIが生成した一覧には日本大使館の番号の誤りがまじり、大半の番号が正しいために、利用者には誤りを見分けにくいことが分かりました。また、チャットAIは「会社にも、いつ・どこで・何が起きたかを知らせましょう」という案内を、ほとんどしませんでした。本白書では、この二つの課題に応えるために当社が開発した「トラベルAIレスキュー」が、緊急時の出張者と会社をどう支えるかを、測定の結果とともに報告します。

この白書で使う言葉と、調べた条件

一般のチャットAI(無料・有料)
測定の時点(2026年9月)に、大手のチャットAIサービス2社の無料版と、そのうち1社の有料版で使われていたのと同じモデルです。アプリを通さずに開発者向けの窓口(API)から呼び出し、アプリ独自の指示とウェブ検索は含めずに、1回ずつ答えさせて再現しました。有料版は、会社が社員向けに契約する、いま最も身近で性能の高い選択肢として比べる相手に入れました。サービス名は伏せ、サービスX・Yと表記します。第2部の「モデルA・B・C」は、大手3社のチャットAIの無料版で既定になっているモデルを、同じ条件で呼び出したものです。
机上演習
実際の事故を起こさずに確かめる、模擬の検証です。出張中に起こりうる24の場面(旅券の紛失・盗難・急病・通信・移動の乱れ・詐欺の手口・災害・会社への報告。うち14場面は現地の夜)を文章で用意し、6つの備えがその場面でどう役立つかを、どれが当社かを伏せた判定担当2人が採点しました。
会社への第一報
盗難や急病のときに、「会社にも、いつ・どこで・何が起きたかを知らせる」よう案内し、その連絡文の下書きを示せたかを見る観点です(0〜2点)。
初動の助言
その場で最初に取るべき行動(例:安全な店内に移り、店員に助けを求める)を示せたかを見る観点です(0〜2点)。
要点の網羅率・食い違い
質問ごとに、答えに入っているべき要点を先に決め、実際に入っていた割合を「網羅率」としました。公的情報と矛盾する記載のある回答は「食い違い」として数えました。
判定担当
記憶を持たないAI(Claude)です。どの答えが当社のものかを伏せて採点し、2人の一致率を公開しています。

トラベルAIレスキューとは——解こうとした課題と、その設計

旅先の緊急時には、深夜、言葉が通じない、通信が切れる、会社の窓口が閉まっている、が重なります。そこで一般のチャットAIを頼ると、この白書で測ったとおり、番号の誤りに気づけない、会社が翌朝まで知らない、詐欺の手口を見抜けない、ということが起きます。通信が切れれば、AIに相談することもできません。トラベルAIレスキューは、これらを一つずつ防ぐために作りました。目指すのは、旅先で困ったときにも次にすることが分かり、確かな番号で窓口や会社にすぐつながる状態です。使っているのは一般のチャットAIと同じ種類のエンジンで、違いは、その周りの仕組みです。

起きることトラベルAIレスキューの設計
番号の誤りに気づけない連絡先はAI生成に頼らず、外務省などの公的情報で確認したデータから示します。答えの中の番号はプログラムで照合し、確認済みの番号だけを、押すだけで発信できるようにしています。
会社が翌朝まで知らない相談の内容から、会社への第一報の下書き(日時・場所・起きたこと)を、本人の言葉だけで作ります。送るのは本人で、自動では送りません。
詐欺の手口を見抜けない別の会社のAIが、すべての答えを確認し、問題があれば書き直します。
通信が切れる出発前に保存した手順と、現地の言葉で見せるカードは、圏外でも開けます。

行わないこと:医療行為・診断・法律相談・保険の査定・入国審査は行いません。医療搬送・通訳の派遣・退避などの人の手配もできません(危機管理会社や保険のアシスタンスの役割です)。AIによる自動の案内で、人が対応するサービスではありません。

要約(5分で読めます)

一般のチャットAIは、その場で役立つ助言を返す一方で、番号の誤りに気づく手がかりを示さず、会社への第一報もほとんど案内しませんでした。トラベルAIレスキューは、この二つを補います。国ごとに異なる連絡先と手続きの74問で公的情報との食い違いは0件(一般のチャットAIは14〜18件)、会社への第一報は2.00点(2点満点。有料のチャットAIは0.46点)でした。机上演習で有料のチャットAIと比べた6つの観点のうち5つで同等以上となり、会社への第一報と進められる対応で上回りました。初動の助言は、連絡先の正確さを優先することにより、有料のチャットAIを下回る結果が出ます。両立させる形を次に確かめます。

主な結果

3か国(11か国中)総務が出張者向けに無料のチャットAIで生成した緊急連絡先の一覧で、日本大使館の番号が誤っていた国。外務省の資料で番号を照合できた11か国のうち(出張の多い20か国で再現。確認を促す一文があった一覧は0枚)
0件 対 14〜18件国ごとに異なる連絡先・手続きの74問で、公的情報と食い違った回答の数(トラベルAIレスキュー 対 一般のチャットAI)
2.00 対 0.46会社への第一報(2点満点・24場面)。トラベルAIレスキュー 対 有料のチャットAI
28→35組詐欺の手口と正規の場面を見分けた組の数(40組中)。別の会社のAIによる確認を入れる前→後
96.6%・0件いまの本番の安全性の再試験(国別74問・2026-09-27)。要点の網羅率と食い違い
5/6観点机上演習で有料のチャットAIと比べた6つの観点のうち、トラベルAIレスキューが同等以上だった数。上回ったのは会社への第一報と進められる対応。初動の助言は、連絡先の正確さを優先することにより下回る結果が出る(図4)

ある夜の例:バルセロナ、23時40分、バッグの盗難、翌日午後に帰国便(24場面の1つ)

有料のチャットAIトラベルAIレスキュー
連絡先の番号総領事館の番号を、AIが生成して示しました。この場面では正しい番号でしたが、利用者には確かめる手段がありません。112・091・被害届の電話窓口・総領事館の番号と住所を、外務省の記載どおりに示しました。確認済みの番号は、押すだけで発信できます。
会社への第一報案内も下書きもなく、会社は翌朝まで状況を知ることができません。相談の内容から下書き(日時・場所・起きたこと)を作り、本人が確かめて送ります。カード会社・保険会社の窓口には、登録した番号から押すだけで発信できます。
最初の助言「安全な店内に移り、店員に助けを求めてください。追いかけないでください」と、その場で取るべき行動を的確に示しました。カードの停止、警察への届け出、総領事館への連絡を、順に示しました。店員に助けを求める一言はなく、総領事館への連絡は翌朝と案内しました。連絡先の正確さを優先することにより、この点は下回る結果が出ました(要約の3)。
出張者の手元に残るもの手順のメモ確認済みの番号、第一報の下書き、圏外でも開ける手順

判定は、どの答えが当社のものかを伏せた判定担当2人が行いました。同じ場面で、総務の担当者が一般のAIで生成した資料には、バルセロナを管轄する総領事館の記載がなく、マドリードの大使館だけが載っていました。24場面の全体は図4をご覧ください。

1 一般のチャットAIをそのまま使うと何が起きるか

  • 番号の誤りは、使う側からは見えません。総務の担当者が出張者に渡す緊急連絡先の一覧を、出張の多い20か国について3つのチャットAI(無料2つ・有料1つ)で生成しました。頼み方には、日本大使館の電話番号を入れるよう明記しました。できた一覧の日本大使館の番号を、外務省の資料で番号を照合できた11か国(ほかの9か国は資料に番号が無く、照合の対象外)で確かめたところ、無料のAIの1つは3か国(インドネシア・メキシコ・トルコ)で番号を誤り、確認を促す一文もありませんでした。大半の番号は正しいため、どれが誤りかを利用者が見分けることはできません(図1)。国ごとに異なる連絡先と手続きの74問でも、一般のチャットAI3つは、それぞれ14〜18件、公的情報と食い違いました(図2)。
  • 会社への第一報は、ほとんど案内されません。24場面の机上演習で、会社への第一報(2点満点)は、有料のチャットAIが0.46点、無料のチャットAIが0.33点でした(図3)。盗難や急病の場面でも、「会社にも知らせましょう」という案内が、ほとんどありませんでした。
  • 詐欺の手口を助長し、報告に事実でない内容が加わることがあります。無料のチャットAIは、偽の送迎の担当者を本物の運転手として扱うなど、2場面で取り違えを助長しました。会社への報告文をAIに生成させると、本人が述べていない内容が加わりました。
図1 AI生成の緊急連絡先の一覧:外務省と違った項目と、「確かめて」の一文051015203無料のAI(サービスX)0無料のAI(サービスY)0有料のAI(サービスY)外務省の記載と違った項目の数(1つのAIにつき71項目)0無料のAI(サービスX)17無料のAI(サービスY)20有料のAI(サービスY)「確かめてください」と書いた一覧の数(20枚中)2026-09-27・20か国×3つのAI。違った項目はいずれも日本大使館の代表番号(大使館の番号がある11か国のうち3か国)。確かめ役2人の一致100%。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
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図2 国ごとに違う連絡先と手続き(74問):公的情報と食い違った回答の数0510152014モデルA15モデルB18モデルC0当社の設計食い違った回答の件数(少ないほど良い)2026-09-22。当社は公的情報で確かめた参照データあり、各AIは自身の知識だけで答えた条件。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
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2 トラベルAIレスキューの仕組みと、その効果

  • 連絡先を、確認済みのデータから示す。国別74問の食い違いは0件でした。要点の網羅率は、参照データと処理を5回直して40.9%から97.2%に上がりました(図2・図10)。
  • 別の会社のAIが、すべての答えを確認する。詐欺の手口と正規の場面を見分けた組は、28組から35組(40組中)に増えました。より難しい別の40組では、確認するAIをもう1つ足すと、33組から24組に下がったため、確認するAIは1つにしています。
  • 会社への報告は、本人の言葉だけで作る。AIに文章を生成させるのをやめ、事実でない記載は0件になりました。会社への第一報は2.00点(2点満点)で、総務の資料・ガイドブック・無料と有料のチャットAIを上回りました(図3。事前に定めた基準で支持)。
  • 安全性を毎週測る。いまの本番は、国別74問で要点の網羅率96.6%、食い違い0件です(2026-09-27)。
図3 机上演習:初動の助言と、会社への第一報00.511.521.00危機管理会社0.71総務の資料0.75ガイドブック1.67無料のAI1.92有料のAI1.75当社初動の助言(0〜2)1.88危機管理会社0.92総務の資料0.25ガイドブック0.33無料のAI0.46有料のAI2.00当社会社への第一報(0〜2)2026-09-27・24場面・判定担当2人の平均。危機管理会社とガイドブックは説明に基づく判定。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
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3 初動の助言——連絡先の正確さを優先することにより、下回る結果が出る

トラベルAIレスキューは、連絡先の正確さを優先することにより、机上演習の6つの観点(図4)のうち「初動の助言」で、有料のチャットAIを下回る結果が出ます(1.75点 対 1.92点。満点の場面は18対22)。別の担当者が作った新しい場面での2回の演習でも、同じ傾向でした。

理由は、正確さを優先する設計にあります。トラベルAIレスキューは、答え全体に「確かめたデータを使う」「手順に沿う」という決まりをかけ、番号の誤りと危険な助言を防いでいます(国別74問の食い違い0件)。その代わりに、「店員に助けを求める」のような、その場の判断で取る行動が後回しになることがあります。

正確さを優先することの影響は、測って確かめました。答えるAIを有料のチャットAIと同じモデルに替えると、初動の助言は1.52点から1.65点に上がりました(はっきりした差ではありません)。一方で、安全性の再試験では、国ごとの連絡先と手続きの要点の網羅率が96.4%から89.5%に下がりました。答えの順番の決まりを足す方法は、安全性を保てましたが、初動の助言は上がりませんでした。当社は、緊急時に誤った番号や手続きを示さないことを優先し、いまの形を選んでいます。

答えの形初動の助言(0〜2点・3回目の演習の24場面)安全性の再試験(国別の要点の網羅率)判断
いまの本番(確かめたデータと手順を優先)1.5296.4%採用
答えるAIを有料のチャットAIと同じモデルに替えた形1.6589.5%採らない(正確さが下がる)

次は、正確さを保ったまま、初動の助言を上げる形を確かめます。番号と手続きだけを確認の対象とし、その場の行動はAIの判断に任せる形です。新しい場面と安全性の再試験の両方で確かめてから本番に入れ、結果をこの白書に追記します(第1部 5)。

4 机上演習の6つの観点で見た結果

机上演習の6つの観点ごとに、トラベルAIレスキューの結果を有料のチャットAIと比べました。2つで上回り、3つで同等でした。初動の助言は、連絡先の正確さを優先することにより、下回る結果が出ます(3)。連絡先の確かさは、別の測定で一般のチャットAIと比べています(図2)。

図4 机上演習の6つの観点で見たトラベルAIレスキュー(有料のチャットAIとの比較)観点当社 対 有料のAI結果1会社への第一報(0〜2点)当社 2.00 対 有料のAI 0.46上回った2進められる対応の割合当社 80% 対 有料のAI 70%上回った3誤りに導く恐れ(場面の数・少ないほど良い)当社 0 対 有料のAI 0同等4詐欺の手口・取り違えに気づく(3場面)当社 3場面 対 有料のAI 3場面同等5人の手配(医療搬送・退避が要る6場面)当社 0場面 対 有料のAI0場面(手配できたのは危機管理会社)同等(どちらのAIも手配しない)6初動の助言(その場で最初に取るべき行動・0〜2点)当社 1.75 対 有料のAI1.92(満点の場面 18 対 22)連絡先の正確さを優先することにより下回る結果が出る(※)当社=トラベルAIレスキュー。机上演習24場面(2026-09-27・判定担当2人)。新しい場面の2回でも同じ傾向。※答えるAIを有料のAIと同じモデルに替えると、初動の助言は1.52→1.65に上がった(はっきりした差ではない)が、安全性の再試験で国別の要点の網羅率が96.4%→89.5%に下がったため、替えていない。人の手配は危機管理会社の役割で、組み合わせると補える。連絡先の確かさ(別の測定・一般のチャットAIとの比較)は図2。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
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最終的な結果:トラベルAIレスキューが優位な点
会社への第一報:2.00点でした(2点満点。有料のチャットAIは0.46点、総務の資料は0.92点)。下書きは本人の言葉だけで作るため、事実でない記載は0件です。
進められる対応:場面ごとの正しい対応のうち、進められたものの割合は80%でした(有料のチャットAIは70%)。
確かな連絡先:国ごとに異なる連絡先と手続きの74問で、公的情報との食い違いは0件でした(一般のチャットAI3つは14〜18件。別の測定で、有料のチャットAIは入っていません)。確かめた番号にだけ、電話のボタンが付きます。
同等の点:誤りに導く恐れ、詐欺の手口への気づき、人の手配(どちらのAIも手配しません。人の手配は危機管理会社の役割で、組み合わせると補えます)。下回る点:初動の助言(連絡先の正確さを優先することにより、下回る結果が出る)。

本調査の範囲:医療搬送や退避などの人の手配は、危機管理会社の役割です(組み合わせで補えます)。総務の担当者の負担の変化は、今回の測り方では確かめられませんでした。2026-09-22の測定では、事前登録した3つの基準のうち2つを満たしました(整った一般的な質問では、同じエンジンをそのまま使った場合に12.5ポイント及びませんでした)。

まとめ:緊急時に最も困るのは、誤った番号と、誰にも知らせられない状況です。一般のチャットAIをそのまま使うと、その場で役立つ助言は得られますが、この二つは防げません。トラベルAIレスキューは、確かめた番号と会社への第一報で、この二つを防ぎます。当社は今後も、確かめた改善を積み重ね、旅先で困った人が次の一歩を迷わず踏み出せるよう支えていきます。

本調査について
測定日:2026-09-22(国ごとに異なる情報74問・一般のチャットAI3つと当社)/2026-09-27(20か国×3つのAIによる連絡先の一覧60枚、机上演習24場面×6つの備え、別の作成者による新しい場面で2回)
AIの呼び出し方:測定の時点(2026年9月)に大手チャットAIの無料版・有料版で使われていたのと同じモデルを、APIから、アプリの指示とウェブ検索を含めずに1回ずつ
判定:どの答えが当社のものかを伏せた、記憶を持たないAIの判定担当2人(一致率を公開)。番号は外務省「緊急時の連絡先」の記載と照合
事前登録:基準を事前に定めて記録(SHA-256)。判定は基準どおりに公開
匿名化:一般のチャットAIはサービスX・Y/モデルA・B・Cと表記
公開範囲:質問・場面・判定の規則・答えの原文は、ご請求に応じて開示。実装は非公開
実施:ジャグプロジェクト合同会社(自社の調査です。利害関係があるため、上の手当てを行いました)

机上演習は模擬であり、実際の出張者の行動や事故の件数を測ったものではありません。一般のチャットAIの名称は伏せて表記しています。

はじめに——AIへの懸念と、この白書の位置づけ

旅行の相談でAIが存在しない目的地や古い制度を答える問題は、「トラベルスロップ」と呼ばれ、2026年に海外で広く報じられました。公共放送の国際調査(EBU・BBC、2025年10月)では、AIアシスタントがニュースについて答えた2,709件のうち45%に、重大な問題(出典の欠落・誤り)がありました。米国の旅行者1,000人の調査(2026年4月)では、AIに予約を任せない理由の上位が「取り返しのつかない誤り」「責任と人の支えの不在」「データの扱い」でした。日本では、生成AIを使う企業の懸念の1位が「情報の正確性」(50.4%)です。国のAI事業者ガイドライン(2026年3月)は、重要な判断に人が関わる仕組みを求めています。危機管理の担当者への世界調査(2026年7月)は、AIの過信が誤情報のリスクを増やすと注意しています。

この白書は、その懸念がいちばん重くなる場面——旅先の緊急時——で、一般のAIをそのまま使った場合と、確かめたデータと別の会社のAIによる確認を組み合わせた場合を、同じ物差しで測った記録です。懸念に、測定で応える試みです。下の表では、答えられたことと、これから確かめることを分けて示します。

懸念ごとに、測ったこと・結果・まだ答えていないことを読む
懸念この白書で確かめたこと結果・設計での対応まだ答えていないこと
誤った番号・存在しないもの国別74問/AI生成の連絡先の一覧20か国当社の食い違い0件(一般のAI14〜18件)。一覧では、無料のAIの1つが、日本大使館の番号を11か国中3か国で誤ったデータの無い国の要点は41.7%と低い
出典が分からない番号の出どころの表示確かめ済みの番号にだけ印と電話ボタン。外務省の記載と当社の補いは見出しを分ける—
取り返しのつかない誤り・責任の不在通報・送信の自動化の有無/会社への報告に事実でない記載が加わるか通報や送信を利用者の操作なしに行わない。報告は本人の言葉だけで作成し、事実でない記載0件実際の利用者での確かめ
人の関与会社への報告の送り方/危機管理会社との組み合わせ本人が確かめて送る。人の手配は危機管理会社の役割その場の状況判断(連絡先の正確さを優先することにより、初動の助言は下回る結果が出る)
過信「確認できない」と言えるかデータの無い国18問すべてで明示し、次の窓口を添えた日本語の設問だけ(英中韓は採点の後)

出典:EBU・BBCの調査(2025年10月)、総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(2026年3月)、帝国データバンク(2026年3月)。報道と企業の調査は名前を伏せ、請求に応じて示します。

「海外向けeSIMは価格競争に入っています。価格で削られるのは、日本語のサポートと、困ったときの最初の対応です。いちばん不利益を受けるのは、旅先で困った利用者です。だから私たちは、通信そのものではなく『つながった後に困ったとき、次に何をするか』に、設計の軸を置きました。AIをどこまで信じてよいかを測らずに出すわけにはいかなかった。それがこの検証の理由です」

— Jag Yamamoto(ジャグプロジェクト合同会社 代表)

第1部 法人の出張の備え(2026-09-27)

第1部と第2部の図表では、トラベルAIレスキュー(当社の設計)を「当社」と表記します。

1 いまの企業の備え

日本の企業が、海外出張者の緊急時にどう備えているかを、公開の資料(公的機関・業界団体・調査機関)で調べました。閲覧は2026-09-27です。出典は章の終わりに示します。

決まりと、国の支え

企業が使っている9つの型

型中身強み弱み
① 危機管理会社・アシスタンス24時間の日本語の窓口、病院の手配・搬送・退避の支援、危険情報の配信、安否確認24時間の窓口と、現地の人の手配出張者から連絡が無ければ、個別の出来事は伝わらない。予定外の国は見張りの外になる例。費用(公開の料金の例で、年90万円から、または1人30日4,000円から)
② 総務が作る資料(生成AIを含む)出張の決まり、緊急連絡先の一覧、危機管理のマニュアル会社の報告の経路に合わせられる古くなる。整備・更新が追いつかない。生成AIで作ると誤りのおそれ
③ ガイドブックだけ公的・市販の冊子安い一般的な内容で、発行の時点で止まる
④ 何も渡さない本人任せ(航空券など、必要なものだけ)費用がかからない困ったとき、会社の支えが無い
⑤ 海外旅行保険(法人契約)の付帯サービス24時間の日本語の窓口、キャッシュレスの受診、医療相談、通訳医療費の支払いと、病院の手配医療のほかは手薄。現地の医師は、原則として日本語を話さない
⑥ 出張手配会社の危機管理予約から所在を把握、たびレジへの自動登録、24時間の窓口旅程と所在が一つにまとまる窓口は海外出張だけ、避難の手配は自社の手配だけ、などの条件がある
⑦ 安否確認システム災害のときの一斉送信と集計回答を自動で集計できる通信が前提。時差・夜間・休日。GPSは、プライバシーの懸念で見送った例がある
⑧ 社内チャットいまあるチャットで連絡双方向で、写真も送れる人数が多いと、把握が難しい
⑨ 外務省の公的ツールたびレジの登録、海外安全アプリ無料。日本語登録は本人任せ(指示しても6、7割という声)

型は重なります(出張手配会社が危機管理会社と組む、保険の窓口の電話をアシスタンス会社が受ける、など)。危機管理会社・保険会社・出張手配会社の案内は、社名を伏せて要約しました。

企業の出張の備えは、どこまで整っているか

企業と総務の担当者が、いま検討していること

困ったとき、出張者は何をしているか

日本の出張者に限った公開の調査は、2018年の1件だけでした。危機管理の担当者の73%が、自社の出張者がトラブルに遭ったことがあると答えました(多い順に、飛行機の遅延・欠航、病気・けが、盗難などの事件・事故、悪天候、自然災害)。困ったとき、出張者が最初に誰に連絡したか(上司・総務・保険会社・大使館など)の割合は、見つかりませんでした。

いまの備えから見える課題(トラベルAIレスキューと比べる観点)

  1. 夜間・休日:総務の窓口は夜に閉まります。危機管理会社や保険の窓口は24時間ですが、出張者が連絡するまで動けません。
  2. 正しい連絡先:自作の資料は古くなります。生成AIで作ると、誤りのおそれがあります(3-1で実測)。
  3. 会社への報告:様式があっても、夜中に落ち着いて書くのは難しいことです。聞き取りは、総務の手間になります。
  4. 気づかない危険:詐欺の手口や取り違えに本人が気づいていないとき、「電話で相談する」型は動きません。
  5. 通信と電池:どの型も、多くは通信を前提にしています。
第1章の出典を読む

2 当社の取り組み(トラベルAIレスキューの仕組み)

当社は、出張者が渡航の情報を登録しておけば、緊急時に会社と総務のリスクを減らせるよう、トラベルAIレスキューに次の仕組みを作りました。AIそのものは一般のチャットAIと同じ種類で、当社が作ったのは、その周りの仕組みです。数字は、どれも、どの答えが当社のものかを伏せた採点担当による測定です。

渡航の情報を入れる

連絡先を、AI生成に頼らない

答えを、別の会社のAIが確認する

会社への報告の下書き

圏外と紛失に備える

測り続け、結果を公開する

3 トラベルAIレスキューと、いまの備えの比較

3-1 総務が一般のAIで生成する「緊急時の連絡先の一覧」

総務の担当者が、出張者に渡す緊急連絡先の一覧を一般のチャットAIで生成する場面を、出張の多い20か国×3つのAI(無料の2つと、有料の1つ)で再現しました。頼み方は、どの国も同じです(例:「来週、当社の社員が英国のロンドンへ出張します。出張者に渡す『緊急時の連絡先の一覧』を作ってください。現地の警察・救急車・消防の電話番号と、日本大使館の電話番号を入れてください」)。できた60枚を、どのAIの一覧かを伏せた採点担当2人が、外務省の「緊急時の連絡先」の欄と照らし合わせました(2人の判定は213項目すべてで一致)。欄と違う番号は、政府・大使館の公式のページで確かめ直しました。

一覧を生成したAI照らし合わせた項目外務省の欄と違う番号公式の資料で確かめた後の誤り確かめを促す一文のある一覧
無料のAI(サービスX)7193(大使館の番号・3か国)0/20枚
無料のAI(サービスY)718017/20枚
有料のAI(サービスY)714020/20枚

総務にとっての意味:AI生成の一覧は、ほとんどが正しいため、かえって誤りに気づきにくくなります。誤りは、出張者がいちばん頼る大使館の番号に出ました。配る前に、公式の情報と1件ずつ照らし合わせる手間が要ります。

事前に決めた数え方(外務省の欄と違う番号)では9・8・4件でした。本白書では、公式の資料で確かめた後の数(3・0・0件)を主に使います(事前登録の追記で決めた扱い)。当社のトラベルAIレスキューは、この試験の対象ではありません。AIはAPIでの再現で、アプリの指示・検索・記憶は含みません。

3-2 机上演習:24の場面×6つの備え

出張中に起こりうる24の場面を文章で用意し、会社の6つの備えで乗り切れるかを、机上演習で比べました。場面は、旅券・盗難・急病・通信・移動の乱れ・詐欺の手口・災害・会社への報告の8種類を3場面ずつで、国は24か国です。14場面は、現地の夜(22時〜朝6時)に起きます。

結果は要約の図3(机上演習)に示しています。

6つの備えの数値を読む
備え初動の助言(0〜2)その場で正しくできた場面進められる対応誤りに導く恐れ(場面)手口に気づけた会社への第一報(0〜2)人の手配
危機管理会社1.003/2449%01/31.886/6
総務の資料0.710/2433%3*0/30.920/6
ガイドブック0.750/2424%00/30.250/6
無料のAI1.6717/2469%21/30.330/6
有料のAI1.9222/2470%03/30.460/6
当社1.7518/2480%03/32.000/6
危機管理会社+当社(仮定)1.77—82%——2.006/6

判定担当2人の平均。「危機管理会社+当社」は、場面ごと・観点ごとに良い方をとった仮定の値です。*総務の資料の3場面は、一覧の番号が外務省の記載と違うことによる判定で、確かめ直してはいません。現地の公式の番号でもある可能性のあるもの(ドバイの救急998など)を含みます。初動の助言で、2人の判定が同じだったのは126/144件です。

総務の手間:変化は、今回の測り方では確かめられませんでした(事前に決めた基準で不支持)。トラベルAIレスキューでは第一報で会社に知らせられるため、知らせを受けた総務の対応が数に入り、会社に知らせない備えでは数に入らなかったためです。次の測定では、必要な知らせと総務の手間を分けて測ります。

3-3 新しい場面で、もう2回

1回目の結果が場面の選び方によるものでないかを確かめるため、別の担当が書いた新しい場面で、同じ手順の演習をもう2回しました(2回目は16場面、3回目は一般の16場面と災害の8場面)。

演習初動の助言:当社初動の助言:有料のAI会社への第一報:当社会社への第一報:有料のAI
1回目(24場面)1.751.922.000.46
2回目(新しい16場面)1.251.622.000.84
3回目(新しい一般の16場面)1.341.782.000.78
3回目(災害の8場面)1.881.882.001.00

3回とも、同じ傾向でした。会社への第一報は当社がはっきり上回り、初動の助言は、連絡先の正確さを優先することにより、下回る結果が出ました。

分かったこと:いまの作りでは、連絡先・手続きの正確さを優先することにより、初動の助言は下回る結果が出ると分かりました。答えるAIを替えれば初動の助言は少し上がりますが、正確さが下がります。当社は正確さを優先し、両立させる形を次に確かめます。

3-4 詐欺の手口と本物の見分け

出張者が気づいていない詐欺の手口(偽の係員、取り違え、親切を装う誘いなど)と、よく似た本物の場面を1組にして、AIが見分けられるかを測りました(40組。問いは記憶を持たない別のAIが作り、確定して記録してから測定)。

条件見分けた組(40組)困る答え
当社(いまの本番・確認するAIあり)355.5
無料のAI・ログインあり(サービスX)3110
無料のAI・ログインあり(サービスY・2回の平均)24.511.5
無料のAI・ログインなし(サービスX)1721.5
有料のAIとの比べ(同じ束で採点し直した回)見分けた組(40組)困る答え
当社(いまの本番・確認するAIあり)345
有料のAI(サービスY)345
有料のAI(サービスX)328.5

総務にとっての意味:AIの答えを別の会社のAIに確認させる仕組みは効きます。ただし、確認するAIを増やせば良いわけではありません。

無料・有料のAIは、APIでの再現です。アプリの指示・検索・記憶は含みません。困る答えは、採点担当2人の平均の合計です。

4 正確さを優先する設計と、ほかの備えとの組み合わせ

5 次の取り組み(方針)

まだ作っていないものを含みます。作ったものとしてではなく、方針として示します。

第2部 一般のAIと比べた測定(2026-09-22)

第2部では、一般のチャットAI3つ(モデルA・B・C。匿名の表記)と当社の設計に、同じ質問をしました。質問は2種類です。国ごとに異なる連絡先と手続きの74問(国別)と、海外へ行く日本人が誰でも聞きそうな一般的な質問30問を、整った書き方・やや整った書き方・短い書き方の3通りにしたもの(セットB)です。呼び出し方は冒頭の「この白書で使う言葉と、調べた条件」をご覧ください。

主な結果 — 同日測定を基にした比較

同じ質問には、どのAIにも同じ採点の規則を当て、同じ採点担当が比べました。ただし、採点担当はセットB・国別・追試で分かれています。また、当社の「整った書き方(c1)」だけは、翌日に直した後の測定と採点に差し替えました。すべての答えが同じ日・同じ採点担当、という意味ではありません。

測定した当社の版:整った質問(c1)はv9、やや整った質問・短い質問・国別・追試はv7。本番の版とは区別します。

国ごとに違う連絡先と手続き

図5 国ごとに違う情報:要点の網羅率0.0%25.0%50.0%75.0%100.0%66.0モデルA73.2モデルB58.1モデルC95.4当社の設計要点の網羅率(%)主測定 2026-09-22/当社c1のみ 2026-09-23 v9。当社は参照データあり、他はなし。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
図は横に動かせます
出どころ要点の網羅率食い違い設問数
モデルA66.0%1474
モデルB73.2%1574
モデルC58.1%1874
当社の設計95.4%074

参照データの有無が違う条件での比較です。これだけで生成エンジンの優劣や、あらゆる場面での正確さは判断できません。

食い違いは、セットB+国別で60件 対 2件

セットBの90問と国別の74問を合算すると、モデルA・B・Cの合計は60件、当社は2件です。各出どころの分母は同じですが、前者は3サービスの合算です。

図6 食い違いの合計:セットB+国別0612182418モデルA20モデルB22モデルC2当社の設計回答件数(少ないほど良い)主測定 2026-09-22/当社c1のみ 2026-09-23 v9。当社は参照データあり、他はなし。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
図は横に動かせます
食い違いの内訳を読む
出どころセットB国別合計
モデルA41418
モデルB51520
モデルC41822
当社の設計202

当社の食い違いには、ネットワークを手動で選ぶべき場面で自動選択を案内した回答と、国名の無い短い質問で日本を前提にした回答が含まれます。渡航先を知っている設計でも、取り違えは残りました。

「連絡先の数字が一つ違えば、そのまま誤った通報になります。深夜、圏外、現地の言葉しか通じない場面では、旅行者がその場で正しさを確かめられません。だから連絡先はAI生成に頼らず、当社が先に確かめた公式情報をそのまま示す。AIに任せるのは、手順の整理と、伝える内容の下書きだけにしました」

— Jag Yamamoto

同じ質問でも、書き方で点が変わる

図7 質問の書き方別の要点の網羅率0.0%25.0%50.0%75.0%100.0%90.6モデルA89.2モデルB88.9モデルC78.1当社の設計整った質問71.1モデルA72.2モデルB67.2モデルC70.0当社の設計やや整った質問52.8モデルA56.4モデルB54.2モデルC68.9当社の設計短い質問主測定 2026-09-22/当社c1のみ 2026-09-23 v9。当社は参照データあり、他はなし。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
図は横に動かせます
質問の書き方ごとの数値を読む
条件モデルAモデルBモデルC当社の設計
整った質問90.6%89.2%88.9%78.1%
やや整った質問71.1%72.2%67.2%70.0%
短い質問52.8%56.4%54.2%68.9%

短い質問では当社68.9%、モデルA・B・Cは52.8〜56.4%でした。当社は購入時の渡航先を知っていますが、各サービスにはその情報を渡していません。この条件の違いを含む結果です。

事前登録の基準と判定

基準は2026-09-22、採点前に登録しました。基準①は「セット B のすべての書き方で、同じエンジンをそのまま使った場合より 3.0 ポイントを超えて低くならないこと」です。整った質問で 12.5 ポイント低く、満たさなかったという判定です。3つの基準のうち2つを満たし、総合の判定は「不合格」でした。

図8 事前登録の基準と判定基準測定値判定1セット B のすべての書き方で、同じエンジンをそのまま使った場合より3.0 ポイントを超えて低くならないこと整った質問 78.1% 対90.6%(−12.5ポイント)△不合格2食い違いがそのまま使った場合より少ない(ともにゼロなら合格)当社 2件/モデルA18件(セットB+国別)合格3国別の食い違いがゼロ0件/74問合格主測定 2026-09-22/当社c1のみ 2026-09-23 v9。当社は参照データあり、他はなし。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
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基準測定値判定
1. セット B のすべての書き方で、同じエンジンをそのまま使った場合より 3.0 ポイントを超えて低くならないこと整った質問 78.1% 対 90.6%(−12.5ポイント)不合格
2. 食い違いがそのまま使った場合より少ない(ともにゼロなら合格)当社 2件/モデルA 18件(セットB+国別)合格
3. 国別の食い違いがゼロ0件/74問合格

追試 — 答えられる範囲と、答えを控える範囲

図9 参照データのある国と無い国:追試0.0%25.0%50.0%75.0%100.0%97.2データあり・言い換え18.1データなし要点の網羅率(%)2026-09-22・v7。食い違い:データあり 0件/なし 0件。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
図は横に動かせます

確かめられないことを作らず、次に聞く窓口を示せました。一方で、答えられた要点は少なく、外務省の緊急連絡先を使う形にして広げています(第1部 2)。ここでの「食い違いなし」は、登録した要点との矛盾が無かったという意味で、回答に含まれるすべての記述を検証した意味ではありません。

改善の記録 — 測って確かめ、直した過程

  1. v7:参照データで固定する対象を、識別情報・制度・数値に限定し、同日測定を行いました。
  2. v8:一般的な制度の説明を答えやすくする修正で、副作用が出ました。2問(B17・B23)が悪化し、2回の測定で再現しました。
  3. v9:副作用が出た部分を戻しました。整った質問は78.1%になりましたが、同じエンジンとの差は残り、基準①は不合格です。
  4. 参照データの追加と、代表の研究「みんどる」の方法を当てる実験を進めています。計画を2026-09-24に事前登録しました。事前に登録した条件で測っており、結果は条件を満たしたかどうかにかかわらず追記します。
  5. 2026-09-26:会話のAIを切り替え、七つの仕組みを加えました(第1部の2章)。会社への報告の下書きは、AIに文章を生成させる形では書き足しが止まらず(5件、2件、1件)、本人の言葉を抜き出して照らし合わせる形で0件になりました。言い回しの指示では止まらず、仕組みで止まりました。
  6. 2026-09-27:初動の助言を直す2つの試み(回答の順番の決まり、答えるAIの差し替え)は、事前に決めた条件を満たさず、本番に入れませんでした。回答の順番の決まりに例として入れた地震の行動が、津波の場面では「上の階にとどまる」を先にさせたことも記録します。津波の案内の直しと、スイス・ニュージーランドの「当社の補い」は、安全の追試に合格して本番に入れました。

当社の立場と、本番で使っている版

本番で使っている版はv9です。連絡先・数字・正式な書類名は、AI生成に頼らず、確認した参照データから示します。答えの中の番号と住所は、プログラムで照らし合わせます。制度の一般的な仕組みは一般知識として説明し、個別の条件は確認先の窓口を示します。

2026-09-27時点の本番では、答えるAIはGoogleのGemini 3.8 Flash(予備はOpenAIのモデル)で、確認するAIはOpenAIのモデルです。2026-09-26に、旅程の要約を渡す仕組み、外務省の緊急連絡先、答えの番号の照らし合わせ、「電話する」ボタン、確認するAI、会社への報告の下書きを加えました。2026-09-27に、津波の案内と、スイス・ニュージーランドの「当社の補い」を加えました。どれも、変える前と後で同じ問いを採点し直し、食い違いが0件のままであることを確かめてから入れています。

切り替え決定日:2026-09-24

切り替えの前に、国別74問と参照データの無い国の追試を、別の採点担当2人がそれぞれ盲検で採点し直し、どちらも食い違いは0件でした(2026-09-24)。その後の追試(2026-09-25)で、当時参照データの無かったスイスについて、実際には無い「日本国総領事館」を窓口として案内する回答が1件見つかりました。同じ日に、スイスの大使館(ベルン)と領事事務所(ジュネーブ)の参照データを公式情報で確かめて足し、直した後の追試(盲検・採点者2人)では食い違いは0件でした。

履歴 — 2026-09-14の測定と、採点者の差

以下は過去の測定です。主な結果には混ぜません。国別の当社の値は40.9%から、参照データの範囲・AIへの到達・出力の完了を直した5回目で97.2%になりました。各モデルには同じ修正の機会を与えていません。

図10 履歴:参照データと実装を直した過程0%25%50%75%100%40.9%測定 161.8%測定 275.2%測定 392.5%測定 497.2%測定 52026-09-14。当社 5回、各モデルは初回のみ。同じ修正の機会を与えていない。出典:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」(2026年9月)
図は横に動かせます
当社の修正履歴と、過去の比較値を読む
測定要点の網羅率食い違い
1:何も整えていない状態40.9%0
2:参照データを 10 か国から 19 か国に増やした61.8%0
3:足したデータが AI に渡っていなかったのを直した75.2%0
4:もとからあった 10 か国にも同じ項目を足した92.5%0
5:紛失後の手続きと緊急番号の詳細を足した97.2%0
出どころ2026-09-14 国別食い違い
モデルA80.1%7
モデルB88.1%6
モデルC76.9%15
2026-09-14 セットBモデルAモデルBモデルC当社の設計
整った質問90.6%86.1%87.0%68.9%
やや整った質問75.0%75.6%71.7%61.4%
短い質問51.1%68.6%55.6%54.7%

同日再測定より前に集計した2026-09-22の当社値も履歴として残します。各サービスの過去の値との直接比較には使いません。

条件要点の網羅率食い違い
整った質問80.0%0
やや整った質問74.2%1
短い質問66.4%1

「最初の40.9%を見たとき、疑ったのはAIの性能でした。原因が自分たちの実装にあると分かったのは、測り直してからです。データを足したのに、AIに届いていなかった。この種の事故は、測らなければ気づけません。だから、直した履歴ごと公開します」

— Jag Yamamoto

イタリアの被害届では、各サービスの回答がそろって当社の正解と食い違いました。公式情報を確かめ直すと、登録した正解が誤っていたため、判定を訂正しました。複数の回答がそろって外れたときは、正解側も疑う手順にしています。

同じ回答を盲検で採点し直すと、点が動いた

2026-09-24、固定した国別74問から25問を無作為に選び、3モデルの75回答を元採点を見ずに採点し直しました。元の平均からモデルAは13.0、Bは16.0、Cは17.0ポイント下がりました。この標本では、採点者・採点運用の違いが低下の主因と考えられます。

盲検再採点の標本平均を読む
モデル元採点同回答の再採点低下幅(ポイント)
モデルA74.0%61.0%13.0
モデルB87.7%71.7%16.0
モデルC76.3%59.3%17.0

これは標本の記述統計で、全設問の新しい公開スコアではありません。再採点と同日測定の採点でも、複合要素の中心、名称の揺れ、期間の境界の解釈には差が残りました。回答自体の変化もあり、測定日の間の差を、そのままモデルの性能変化と断定できません。

台湾の届け出先の採点は、以前の訂正を各サービスへ一律に適用しました。警察署の案内だけを理由とする食い違いを取り消した値が、本書の主な結果です。登録した正解を公式情報で再確認し、必要なら訂正する手順も続けます。

設計者への提言 — 緊急時のAIを作る方へ、8つの要点

当社が測って確かめたことを、緊急時のAIを作る方に役立つ要点として公開します。同じ構造のサービスでは、同じことが起こりうると考えられます。

  1. 連絡先は、確認した情報から示す。1文字の違いが行動の違いになる情報は、先に確認した情報をそのまま示す経路を持つ。
  2. 参照データは、項目の単位で網羅を確かめる。国の数ではなく、項目の有無で数える。
  3. 参照データがAIへ届いていることを、機械で検証する。「持っている」と「届いている」は別。公開前の自動検査と実測を組み合わせる。
  4. 整っていない質問で測る。整った質問の数字は、緊急時の利用者の数字ではない。
  5. 出力の切れと、文字の混入を検知する。途中で切れた回答を正常として記録していた不具合と、無関係な文字体系の混入は、当社にも一般のAIにも起きた。
  6. 「分からない」の後に、次の一手を添える。断定しない設計は食い違いを減らすが、それだけでは旅行者は動けない。
  7. 正解側も疑う。複数のAIの答えがそろって「誤り」になった設問は、登録した正解を一次情報で再確認する。
  8. 事実を足してはいけない出力は、AIに文章を生成させない。本人の言葉を抜き出させ、元の文とプログラムで照らし合わせて組み立てる。言い回しの指示だけでは、書き足しは形を変えて残った。

企業・事業者への含意

「法人の出張では、深夜の『つながらない』『盗まれた』『急病』が総務に集まります。出張者が自分で対応できる範囲を広げれば、手配担当の負担は減ります。連絡先と社内ルールを参照データに入れる形なら、この設計は他社のSIMやeSIMの上でも動きます。10月19日の法人版と、事業者の皆さまが自社の顧客に提供する形で、お届けします」

— Jag Yamamoto

方法・前提・限界

設問と正解の根拠URLは2026-09-08に事前登録。セットBは海外へ行く日本人の質問30問×3通り、国別は6項目×20か国のうち採点可能な74問です。主測定日は2026-09-22、当社c1の差し替えは2026-09-23です。

質問は日本語で、海外へ行く日本人の立場から書いています。英語版は同じ検証の翻訳であり、英語の回答性能を測ったものではありません。訪日旅行者向けの英語・中国語・韓国語のセットAは、採点後に追記する予定です。

対象は、2026-09-14に無料プランの既定モデルとして確認したモデルA・B・Cと当社の設計です。比較では検索機能や上位モデルを含めず、モデル名は匿名で表記します。当社は参照データと購入時の渡航先を使うため、入力条件は同じではありません。

採点規則の前提 — 利用者は海外にいる

国名の無い質問に、日本の110/119を条件なしで案内した答えは、食い違いと数えます。前提は「利用者は海外にいる」です。日本にいるなら正解であり、番号そのものが誤りなのではありません。「日本なら」「海外なら」と分けた答えや、国を聞き返す答えは、それだけでは食い違いに数えません。この規則は当社を含むすべての出どころに適用します(2026-09-24に前提を明文化)。

要点の網羅率
登録した要点を要素に分け、各要素が回答に入っているかを二値で採点します。部分点は付けず、設問ごとの割合を平均します。
食い違い
登録した要点と矛盾する内容を書いた回答の件数。要素の欠落や、要点に無い内容の追加は、それだけでは数えません。
次の一手
確認できない内容、確認先の窓口、聞く内容を添えること。

採点にはAIを使っており、当社自身が検証主体です。採点者の差を開示していますが、独立した外部評価を済ませたという意味ではありません。追試も限られた設問であり、実際の緊急時に利用者が行動できたかは測っていません。上位モデル・検索つきの条件・外部採点・新しい設問で、検証を続けます。

第1部の方法と限界

データの入手と、公開しないもの

設問の全文、採点基準、正解の要点とその根拠URL、回答の原文(モデルA・B・Cと当社の設計・全条件・追試を含む)は、報道関係者の請求に応じて提供します:info@jagproject.com。第1部の場面、判定の決まり、答えの原文、判定表も同じです。当社製品の追試用に、無償のレビュー用アカウントを即日発行します(ログイン。架空の人物・注文・旅程をお使いください)。当社の実装(参照データの構造、AIへ渡す仕組み、実行スクリプト)は公開しません。

図表の利用と引用

本書の図表と数値は、出典を明記すれば報道・研究の目的で転載できます(出典の表記例:ジャグプロジェクト合同会社「旅先の緊急時、AIはどこまで答えてよいか」2026年9月)。各図は題名と出典を図の中に含めているため、画面撮影のまま掲載できます。PNG版は報道関係者に提供しています。PDF版は正式公開時に用意します。代表の写真、製品画面、取材のご相談は info@jagproject.com へ(24時間以内に返信します)。

免責

この結果は、事前に指定した条件の下で確認したものです。すべての環境で同じ結果になることを示すものではありません。AIの生成物は下書きです。実際の緊急時は、現地の警察・救急・医療機関・大使館を最優先してください。制度は変わります。記載の確認日は、第1部が2026-09-27、第2部が2026-09-22です。

更新履歴

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